見えないところで

“塵も積もれば山となる”

 小さな積み重ねの結果が、大きな成果となって実を結ぶ。農作物の生産、工業製品の開発、サービスの品質維持など、万事に通じる基本則である。ただし、小さなものそれぞれには、常に工夫が必要とされる。同じことを坦々と繰り返すだけでは「塵」は文字通りゴミくずと化してしまい、“塵が積もればゴミ屋敷”となりかねない。

 一見同じように見えて、しかし実際は変化が起こっている。小さなことに細心の注意を払うことができて初めて、大きな仕事が達成される。ただ、小さなことだけに、誰もがその影響を軽視しがちである。物事の完成度の高さは、その「小さなこと」の中に潜んでいるのである。

多くの変化は、目に見えないところで進行する

  少し具体的な話しで考えよう。―人間の体には60兆個の細胞があり、常に再生が行われている。それらの中でも、胃や腸の上皮組織の細胞は、1日ですべてが新しく生まれ変わる。血液中の赤血球は120日の寿命である。こうして常に変わりゆく人間の体を、私たちはほとんど意識することなしに毎日の生活を同じように繰り返している。

  もちろん、それは表面上では、という意味である。PCでも、ネット環境でも、それらのバックグラウンドでは、常に更新や変更が行われていること、そしてまた同時に、それらの詳細を私たちは何も知らずに利用しているという「恐ろしさ」を抱えていることも忘れてはいけない。

  そもそも塾とは、学校とも、家庭とも違った、一つの学習空間である。その中で、学生がどのような姿勢で取り組むかによって、また塾講師がどのような視点で接するかによって、青少年期の学生は大きく影響を受けることだろう。その責任の重さを意識しつつ、日々指導に励んでいる。